~Ver. 7






「はッ……う……んん……!」
 サスケの舌がナルトの口腔を犯す。深く求められて入り込んでくるそれを、ナルトは拒むことができない。そんなこと考える隙をサスケは作ってはくれなかったのだ。
 唇が合わせられてすぐ、ナルトは己が吐き出した残滓を後ろの穴に塗りたくられて、指を入れられた。
同時に這いまわり始めた指が、ナルトの胸の飾りをいじる。強くつままれては弾かれ、時に引っかかれる。
痛みのようなものしか感じなかったそこが、今だ蛇が絡まるそこに繋がっているのだと気づいたのは、サスケに触られてからどれくらい経った頃だろうか。後ろに感じる違和感はそのままに高まっていく自分の体。
先ほど、出したばかりだというのに前はまた勃ちあがっていた。
「ナルト。イキたかったらオレを求めろ。そうしたら好きなだけイカせてやるから」
 唇を離したサスケが、ナルトが頷くはずのないことを承知で言ってくる。
「誰が…ッ!」
 すべてを言い終わる前に、ナルトの先端に何かが無遠慮に触れてきて声がつまった。割って入ってこようとするその感覚に、ナルトはぶるりと震えた。体を起こしたサスケが、ナルトの頬をなでる。
 サスケにつられて己の下半身を見てしまったのをナルトは後悔した。そこには大口を開いた新たな蛇が、その細く長い舌をナルトの先端に向かって伸ばしている姿があったのだ。
「最初は痛いかもしれねぇが。我慢できるな?」
 それに言葉を返すことがナルトにはできなかった。
「いッ!あああぁ……!」
 悲鳴のような声がナルトの喉からあがる。尿道へと進入してきたそれが、鋭い痛みをナルトに与えたのだ。
「く…!う……ッ」
 生理的な涙がナルトの頬を伝う。痛みに気をとられている間に指を増やされ、動かされた。もうわけが分からなかった。
ひきりなしに声はあがり、痙攣のように震えつづける体をナルトは抑えることなどできなかった。
 後ろでナルトの中をかき回していたサスケの指が、そこを突いた時、ナルトは確かに射精感を感じた。
大きく体がぶれたのをサスケは見逃さなかった。
 尿道に差し込まれていた舌まで抜き差しを始める。
「あぁ…ッ!やめろ…!サスケッ…いやだッ!いや……ッ!」
 まるで強制的に射精を強いられているような感覚だった。
 尿道を行き来する長い舌が、まるで絶頂を何度も迎えるような快感をあたえてくる。
 しかし実際は舌にせきとめられて、吐き出されることの叶わない状態が続いているだけだった。あふれ出る透明なはずの液体は、泡立ち白くなっている。
 ナルトはたまらなくイキたかった。
 両腕が自由なら迷わずそれを引き抜いたに違いない。それをサスケが見ていたとしても。
それほどに、ナルトは追い詰められていた。声がとまらない。
「はぁッ…はぁッ……う…あぁッ……!」
「ナルト。嫌じゃなく、オレを求めろ。ずっとこのままでいいのか?……ここ、感じてんだろ?」
 サスケはナルトが一際感じる場所を突いてきた。
「いや…だぁ……!サスケッ……!」
「頷けよナルト。そしたらここばっか…突いて…擦ってやるから」
 極度の快感と我慢を強いられる中で、ナルトの意志とは反対にサスケを求めてしまいそうだった。
ギリギリのところでナルトは譲れないものがあった。
「オレから離れんじゃねぇ、ナルト。離れねぇって言えよ」
 サスケの体重が全身にかかる。熱がこもった。
 ナルトは答えるよりも、聞きたくて仕方がなかった。
 そう思った時には苦しい息の中、問いかけていた。
「サ…スケッ……オレがッ……好き……ッ?」
 はっと顔をあげたサスケと目を合わせる。今日、始めて真っ直ぐ見るサスケの目だった。愛しさが込み上げてくる。
「んなわけねぇだろ……」
 苦しそうなサスケの声。
震えているのはナルトの気のせいじゃない。
「これが…この気持ちが…んな軽い言葉ですむはずがねぇ……」
 ナルトは眩暈がした。





 涙が止まらなかった。こんな顔をさせてしまっていた。
「こんな、ひどいッ……サスケ……目ぇしちまって……!」
 今、両手が自由であれば、この苦痛のような快感から逃れるよりも、サスケに手を伸ばすのに。
 見上げるナルトの目が、愛しいものを見るように細められる。
「お前が…戻ってこい…よ!サスケ…お前が……欲しかったッ…ずっと……!」
 ありったけを込めてサスケに言った。息をのむ気配がする。
 束縛されていた両手が自由になり、埋められていた指が乱暴に引き抜かれた。
「あッ……!」
 まだ閉じきれずにいるそこにぬるんだ先端を当てられる。息を整える間もなく、サスケが中に押し入ってきた。
「うあああぁ……!」
 あまりの衝撃にナルトは絶叫した。
痛みと入り混じった快感が脳天を突く。ナルトに絡む蛇がいなければ、間違いなく絶頂を迎えていただろう衝撃だった。
相当の痛みが自分の身を襲っているはず、しかしナルトは快感をきちんと受けとめていた。いつの間にか動きを止めていたナルト自身を犯す舌がまた出し入れを繰り返し始めた。
「あッ…あぁッ……サスケ……オレッ…もう…!」
 ナルトの乱れる様に触発されたように、サスケも動き始める。
 前と後ろを同時に抜き差しされ、ナルトはたまらずサスケの首に腕をまわしてすがりついた。
「ナルト…もう少し我慢しろ……ッ」
「はぁッはぁ…!もッ…ムリッ!……んッ…ああッ…!」
 いきなり奥を突かれて揺さぶられた。
 サスケの荒い息づかいがさらにナルトを追い詰める。
「前ッ…抜いて…イキた……!あッ…サスケぇ……!」
「まだだ……ッ」
「もぅッ…くッ……んあああぁ……!」
 おもいきり突き上げられてナルトは意識を飛ばしそうになった。しかし、今だ激しく尿道を行き来する舌が、驚くほど奥まで侵入してきて痛いほどの快感をナルトに与えてくる。
 もう我慢も限界だった。イキたくて仕方がない。
 サスケがナルトの片足を肩にのせた。腰が浮いてさらに深くサスケが進入してくる。えぐるようにして腰を使われナルトはもう、必死でサスケにしがみついていることしかできなかった。
「ナルト…ナルトッ……」
 サスケが一際ナルトが感じる場所を突いてきた。そこを刺激されるとナルトは頭が沸騰してどうにかなりそうになる。
 一点を攻めたててくるサスケに、激しすぎてもう痛いのか快感なのかナルトにはよく分からない。もうダメだと、自身に絡まり尿道を犯し続ける蛇たちに手を伸ばそうとした時、
「ナルト、イキたいか……?」
 サスケが熱のこもった声で聞いてくる。
 ナルトは涙を散らしながらコクコクと何度もうなずいた。
 その一瞬後、一気にそれが引き抜かれた。
「あッあああああぁ……!」
 目の前が真っ白になり、ナルトは大量の精をどくんどくんと吐き出した。一瞬で達してしまったのだ。
「はぁッ…はあッ…サスケ…サスケぇ……!」
 ナルトの絶頂の間、腰をつかんで激しく腰を使っていたサスケが数度にわたってナルトを強く突き上げてきた。とまらない絶頂感にナルトの体はガクガクと痙攣している。また前が弾けた。
「く…ぅッ……」
 サスケの呻きが聞こえて、自分の中に熱が広がったような気がした。ほぼ失神状態で終わりを迎えたナルトは、全身を汗で濡らしている。下腹部は己の吐き出した精液にまみれたそれが、ぐったり横たわっていた。
「まだ、足りねぇよ……」
 ゆっくりと足を下ろしたサスケが、放心状態のナルトの頬に手を添え、小さく開いた唇に口付けた。
 まだ、夜は明けない―――――。





「サスケ……」
 ナルトは深く眠る男を見下ろした。頬にかかる髪をそっとはらう。少し頬がこけたかもしれない。それでも彼の容姿を損なうほどではなかったけれど。
(お前、いつからそんなオレのこと想ってくれてたんだ?)
 外から鳥の声が聞こえてくる。夜が明けようとしていた。もう少しこうしていたいけれど、とナルトは静かにベッドから降り立つ。
昨夜のことはずっと忘れることはないだろう。あんなに激しくお互いを求め合った。あんな熱がサスケにあるだなんて思わなかった。その矛先が自分に向いていただなんて。でも……。
 自分はサスケを置いてゆく。
 彼のすべてが分かったわけではないけれど、ナルトは満足していた。もちろんなかったことにするつもりはない。自分のサスケにたいする想いは大きすぎた。それにサスケは応えられるかどうか、まだナルトには分からない。
 だからひとつ、試してみてもいいだろうか。

 なぁ、サスケ。お前はどれだけオレのこと想ってくれている?












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