ひっぱってますね、ごめんなさい。







とはどんなものかしら?18






誰と

誰を

選べって……?


『ナルトの大好きな“サスケ“が
ここにいるんだ』



「サスケ…?」

何て言ってた?

全部知ってるって

「……誰が」

何を

見てたって…?



生きててほしいって
泣いて懇願して
みっともなくすがりついて
ばあちゃんの言う解放を
望んでた親友を縛り付けた。

その結果が今で

「ナルトは“サスケ“も
捨てるのか?」

そう言った
サスケの声が遠い。
それでもその意味は
はっきりと胸に突き刺さって

捨てるなんて…
何でオレ
サスケを手離そうとした?

「こんな…関係…やめようって……」

どんな関係…?

「オレは…サスケを……」

欲しがって……
求めて……

親友だったあいつを

「…親友……だったんだ……」


『サスケが嫌だっつってももう決めたんだ
これで対等だろ?』

サスケは初めてできた

『オレは好き嫌いは別として
仲間としてのお前は信用してる』

オレの大切な

『いつか、絶対ぇサスケの大ピンチの時に
格好よく登場してやるってばよ!』

大切な……

『もう、足ひっぱんじゃねぇぞ、ナルト』

友達だったんだ。



そうだ
知ってた
オレには
そんな記憶があった

あいつとの
思い出とも言えない

でも
それらの記憶は
戦場を離れれば
少しのあたたかさと
切なさを含んだ
優しくて
キレイで

初めてもらった
大事なものだったんだ。

「……ナルト?」
「ごめ……サ…スケ。
オレ……お前…を……
取り返し…つかなっ…!」

呼吸が

苦しくて

「こんな……!
お前を汚す…よ…な…ッ」
「ナルト…!」

サスケの顔が
ぼやける。

頭ががんがんと
痛みを訴えて

「…ハッ……ハッ……ッ」

思うように
息が出来ない

苦しい

苦しい…!


ただ生きて欲しいって
最初はそれだけだった

お前が

もうどこだっていい
生きててさえくれたら


胸が痛くて
呼吸の仕方が

「ハァ…ハアッ…!」

解放を望む
お前の意思を捻じ曲げて

「ハッ……ハァ…ハァ……!」

親友だったお前に
オレは

何であの時
もっと強く
拒めなかったんだろう

「ッ…!ごめッ……ハァ!ハァ!」

求められるままに
受け入れて
そこに少しの優越もなかったと
言い切れたか

「ハァ…ハアッ…!サスッ…ケ!」

必要とされることに
安堵しなかったか

ごめん、サスケ
ごめん、イタチ
ごめん、サスケの父ちゃん母ちゃん
ごめんなさい。ごめんなさい。

こんな結果
誰も望んでない





視界が霞んでいって

もう何が
起こってるのか
分からなかった。

それでもオレの耳は
サスケの悲鳴のような
オレを何度も呼ぶ声だけは
ちゃんと聞こえてて

その声が

「お願い…!助けて…!!」

オレじゃなくて

「オレなんか消えてもいい!!」

誰かに助けを
求めてるみたいに

「だから…!!
ナルトを助けろよ!!」

半狂乱になって叫ぶ
サスケの声を聞きながら
ただただ
意識を飛ばしそうなほどの
苦しさに耐えて

もう駄目だって
そう思った時

横になって丸めてた体が
乱暴に上向かされて
口を大きく
開かされたと思ったら
あたたかい空気が
流れ込んで来た。

まるで水中で溺れた人間が
空気を求めるように
オレは押さえつけてくる体に
必死にすがりついていた。





『オレはお前に…生きて欲しいッ』

『……オレの望みはここにいることだと
言ったら……どうする?』

ナルト。

『オレはこの体がどうなっても……
お前のそばにいたいと言ったらどうする?』

『でも…ここにいたらお前……!』

『そばにいてやると言った』

『……』

『お前の望むカタチで』

『……オレはお前が…!』

『何にでもなってやる』

だから
ひとりになろうとすんじゃねぇ



『ナルト』









「ナルト」













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