「あ・・・・・ちっ・・・・」
こすれる背中、流れ落ちる汗。
すべる両手がそれでも離すまいと覆いかぶさる男の背中に爪を立てる。
こんなもの暑くて苦しいだけだ。
なのに呼吸もままならないほど追い詰められ、興奮した様子のサスケを感じれば、もうこのまま溶け合うようにどろどろに、繋がった部分からひとつになってしまえばいいなんて本気で思った。
「はっ・・・・・はぁ、はぁ・・・くっ・・・ぅ」
ズクンと突き上げられた瞬間、ひどく痛む背中よりもギチギチとサスケを受け入れる箇所よりも、かすかな快感を感じ取ってしまって、もうそれを追うことしか出来ない。
お前を追って・・・・!
アンコールバンティアンの下層部から姿を消したサスケを追って、最後の気力を振り絞りようやく追いついた男に掴みかかった。固い床の上をもつれるように二人転がって、もう離すものかとサスケの着物が着崩れることなどかまいもせずめちゃくちゃにしがみついた。
その後はよく覚えていない。
サスケの体温に、においに、少し乱れた息遣いにあおられた。
唇が重なりサスケの舌が遠慮もなく入ってきた瞬間、たまらず奴の首に腕を回していた。
どちらが先だったかなんて、どうやって服を脱がされたかなんて、そんなことはもうどうでもいい。
今与えられる快感と痛みと熱が、この瞬間だけを感じろよとナルトをうがつ。
「う・・・・あ・・・・っ」
サスケが動くたびグチュ、グチュっ、と耳につく水音が、かろうじてナルトの意識をつなぎとめる。
ただ男の背中に回した腕だけは、もう子供のように全力でサスケを求めた。
それを感じ取ったのか、もっと深く・・・!と、サスケはナルトの両足をかかえるように腰を突き入れる。
「あっ・・・!サス・・・!あ、あ・・・・っ!」
「はっ・・・・はぁ・・・・っ」
体の奥に感じる快感がじわりじわりと大きくなって、そこを狙いすましたようにサスケが動く。
放り出された足が忙しなく動く男の腰に回された。
さらに熱がこもる。
腕が、足が、心が、
ただ真っ直ぐサスケを掴もうと。
離れるな、
離すな、
そう訴える。
なのに、
「・・・・!!」
ぐっとえぐるように最奥を突き上げられ悲鳴のような声がナルトの喉を通り過ぎた。
ゆるんだ腕をすり抜けるように少し距離があく。
見下ろす黒く鋭い双眸が今まで無関心を決め込んでいた男が嘘であったとナルトに確信させ、ポタポタと落ちてくる汗が、サスケの熱を伝え、高ぶりを知らせる。
たったこれだけの行為。
なのに上がる熱は止めどなくて、せり上がる快感は少しの意識を残して膨れ上がる。
目じりに溜まった汗がこめかみを伝い、耳の横を通り過ぎてゆく。その雫は道を作りそこばかりを通ってゆくから、汗なのか涙なのか、もうどちらか分らなくなってしまった。
「・・・好きだって気持ちが・・・闇になるわけねぇって言ってたな・・・・」
「・・・な・・・に・・・・っ!あ・・・!」
ようやく会話らしい言葉を口にしたサスケをナルトは見上げる。
「なら・・・、オレの・・・・・・・・・・」
「サス・・・・・っ!!あっ、あ・・・・・はっ・・・!」
奥に当たるように小刻みに中挿を繰り返されて、急激に快感が襲ってきた。
「ん、んんん・・・・!」
乱れる呼吸の中でもその言葉に返そうと開いた口が、荒々しくサスケの唇に塞がれた。
ぬめる唾液が、まじる汗が、もうどこまでも溶け合って、隙間もないくらい重なって、互いの熱でぐちゃぐちゃに交じってひとつになってしまえばいいと。
声を上げたくて、その名を呼びたくて振り切るようにサスケの唇から逃れた。
「・・・・サスケッ・・・・!ッああぁ……!」
閉じているはずの視界が弾けた。全てが真っ白になり一瞬意識が飛ぶ。
ナルトの嬌声が辺りに響いた。
「イッたのかよ……ッ」
ビュクビュクと白濁を散らすナルトのそれにサスケは手をかけ、絞り出すように手を動かす。
「……はぁ…は……っ」
衝撃でガクガクと震えるナルトから性急に己を抜き出し、力の抜けている体をうつ伏せにした。ナルトの腹に腕を入れ腰を高く上げる。
「……ちょ…まッ…て……!ッ……!」
ぐっと後ろから押し入られ、ナルトの息がつまる。覆いかぶさるように体重がかかり、すぐ耳元でサスケの荒い呼吸が聞こえた。
「…まだ…終わってねぇよ……!」
絶頂を迎えたばかりの体は敏感で、先ほどまでサスケを受け入れていたそこが今は拒むように収縮を繰り返す。
「いッ……つッ…」
それでも無理やりずんと最奥までねじ込まれてナルトの腕がくずれた。
「背中…傷だらけになっちまったな」
「…サスケの……せ…ッ」
ゆっくりとした中挿が敏感になっているナルトの中でも感じ取れてしまって、放ったばかりだというのにまた前に熱が集まってくる。
サスケはナルトの背中に口付けながら、胸の飾りにも手を伸ばした。つんと尖ったそれを摘み取るようにつまみ、中に擦りつける調子に合わせて指の腹できゅっと押しつぶす。
ナルトの腰が震え、鼻にかかった甘い声が漏れた。
「ふっ…ぁ……ッ」
ぐっと抑えていた衝動をサスケは解き放つ。ナルトの腰を引きよせ本格的な蹂躙を開始した。
「ん…くッ……」
「…は……はッ……」
サスケは好きなだけナルトを突き上げ、激しく揺さぶった。
両腕を地面に付き顔を伏せるナルトの表情は分からなかったが、しなる背が、時折聞こえる小さな喘ぎがサスケを高みへと押し上げる。
この瞬間、この体、この声、この心、
全てがサスケだけのものだった。



鬱蒼と茂る木々に囲まれ、サスケはただ上空を見上げる。
落下してくる城であったものに紛れ遥か高みから折り重なって降ってくる二つの影。
曖昧なそれをはっきりと視覚し、サスケは少しの懐かしさを感じる。
強い引力のように人を引き付ける資質は変わりなく、増したようにも思える彼の魅力に劣情さえ感じた。
元より彼に惹かれてやまなかった自分は、ナルトのある意味強引ですらあるそれに、場所であるとか立場であるとか忘れ、その体を好きにした。
彼に捕われている自分を嗤う。
それを証拠に今だ自分はこの場所から離れられずにいる。
あの時、サスケを切り離したナルト。
必ず捕まえるとその目は強く語りながらも、サスケを突き放した。悔しさがサスケの内に広がる。
徹底的に叩き潰すと言い、それを現実とした今、それらとともに自らも潰れてしまっては意味がないではないか。
今はひとつの塊となって落下してくる二人を凝視し、この背に隠れる力であればと身を乗り出した。
その時、
「……ふん」
彼らの執着点に見えた、風船のように膨らみ大きさを増した彼の仲間を最後に視界に入れサスケは踵を返す。はだけたままでいた着物を羽織った。
自分の役目は終わったのだと思いながらも、足取りは怠惰だ。
しかし、
変わらず自分だけを睨み据える彼に安堵した。
なお強く求めてくる彼に………。
サスケは心地良い疲労感の中、懐にしまった巻物を届けるべくここを後にしたのだった。





Fin.



某サイト様のイラストから出来上がってしまったラクガキです。
なんかごめんなさいの気持ちでいっぱいです・・・orz





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